蜂の子を採る職人技

蜂の子は、高い技術や蓄積された経験によって採集されています。
特にスズメバチの巣から蜂の子を採る場合などは、規模が大きい巣や攻撃性の高い蜂を相手にしなければならず危険です。
また、ミツバチは養蜂場で育てられており、野生の蜂の子とは違った工夫をして採取されています。
ここでは、野生と養蜂における蜂の子の採取方法について解説します。

蜂の子採りには技がある

野生の蜂の子を採る際には、成虫を含む巣を丸ごと捕獲する必要があります。そのため技術や経験がなければ、結果が出ないばかりか死に至る場合もあるのです。
ここでは蜂の子を採るまでにどのような過程があるのかを説明します。
蜂にはたくさんの種類がありますが、野生の蜂の子では最も食されていると考えられるクロスズメバチの蜂の子採りを例とします。

巣の発見

蜂の巣は雨風を避けるため、人目につきにくい所に形成される場合が多いです。
クロスズメバチもその例に漏れず、土中などに巣を作ります。

蜂の巣は偶然見つかる場合もありますが、そうでない場合は餌で働き蜂をおびき寄せ、巣までの道のりを把握することが必要です。
この時使われるのがカエルの肉や生イカなどで、餌には追跡する時に働き蜂を見失わないようにこよりがつけてあります。
このこよりを頼りにして巣に戻る働き蜂を追い、最終的には巣の在処を見つけるのです。
斜面やあぜ道など、平坦でない場所を駆け回ることもあり、追跡には危険を伴うこともあります。

蜂の巣を丸ごと採取する

野生の蜂の子は防護服に身を包んだ後、蜂の巣ごと採取します。
入り口が狭く巣の全容がわかりにくい場合があるうえ、何もせずにただ掘り進めて採取しようとすると、蜂は攻撃をしてきます。
そのため、煙幕を利用して蜂を弱らせてから、周囲の土を掘り進めて巣を採取するのが比較的安全です。
それでも攻撃してくる蜂がいる場合は、殺虫剤などを利用して対処します。
そして巣ごと持ち帰られた蜂の子は、蜂の巣からピンセットなどを用いて丁寧に集められ、調理されます。

養蜂場での蜂の子

ミツバチが育てられている養蜂場では、野生とは異なり蜂の子が人口的に生産されています。
養蜂場で蜂の子がどのように生産されているのかをみていきましょう。

未来の蜂の子を育てる

養蜂されているミツバチの中でも、採取するために育てられる蜂の子は雄のミツバチです。
雄ミツバチは交尾以外の仕事を行わないうえ、蜂蜜を餌として消費します。
ですから、養蜂場からしてみると、雄ミツバチは数を管理して蜂の子にすることが合理的なのです。

蜂の子になるまでの流れ

蜂の子として採取される雄ミツバチは計画的に生産されます。
雄ミツバチには専用の巣礎と呼ばれる人工巣が存在し、これを活動期の巣箱に入れると雄ミツバチのみが育つ部屋が作られます。
そして、一つ一つの部屋で雄バチがふ化し、さなぎの状態になってから一気に採取するのです。
そして、この際採取された蜂の子は、缶詰やサプリメントに加工された後出荷されます。

野生と養蜂で採取される蜂の子について具体的に触れてきましたが、初心者や未経験者だけで蜂の子採りに挑むのは危険です。
また、蜂毒アレルギーなどがある場合は蜂に絶対に近づかないようにしましょう。