蜂の子とイナゴは、どちらも食材として活用される昆虫です。
しかし、この二つには人間との関わり方や食べ方など、様々な違いがあります。ここでは蜂の子とイナゴの違いについて説明します。
蜂の子の基礎知識
蜂の子は蜂の幼虫やさなぎ、成虫も含んだ食べ物の総称です。
蜂は日本全国でみられる身近な昆虫であり、色々な種類の蜂の子が貴重なタンパク源として古くから食べられてきました。
現在では、岐阜県や長野県などの山あいの地域で盛んに食べられています。
イナゴの基礎知識
イナゴはバッタの仲間で、日本ではコバネイナゴやハネナガイナゴといった種類が生息しています。
稲を食べる害虫として有名ですが、食用される昆虫としても有名です。
高タンパク・低脂肪の食品で、古くから現在に至るまで食用されて続けています。
1950年代に強力な農薬が使用されるようになり、イナゴの生息数は激減しました。
しかし、毒性の強い農薬の使用が見直されると、イナゴの個体数は次第に回復していきました。
人間との関わり方
蜂の子
蜂は社会性があり、巣を形成する昆虫です。
また、花粉を運ぶ働きや農林業における害虫を捕食する働きもあるため、益虫として考えられています。
蜂の子を手に入れるのは、巣ごと捕獲する必要があるため容易ではありません。
例えば、蜂の子がよく食べられるクロスズメバチは、土の中に巣を作ります。
ですから、蜂の子をする際には餌でおびき寄せた蜂を追いかけ、巣を見つけ出す必要があるのです。加えて蜂は巣を守るために攻撃をしてくるので、蜂の子採集は危険を伴います。
しかし長年の間、人々は蜂の子を食べ続けてきました。
なぜなら、蜂の子はタンパク質をはじめとした豊富な栄養素を含んでおり、人々の暮らしを支えてきたからです。
イナゴ
イナゴが蜂の子と異なるポイントの一つは、稲などの農作物に直接的な被害を与える点です。
農薬などがなかった時代は、イナゴの存在が農家にとって死活問題でした。その一方で、イナゴには高タンパク・低脂質の栄養源として人々に食べられてきた一面もあります。
稲と関わり深いイナゴは、日本全国でみられ、現在でも佃煮などにして調理されたものを比較的容易に入手できます。
もう一つ蜂の子と比べられるのは、採集の難易度です。
イナゴ採りは手や虫網で捕まえるだけなので、蜂の子採りのように防蜂ネットなどのような大きい装備は必要ありません。
そのため、イナゴは蜂の子よりもメジャーな食品として人々の間で食べられています。
食べ方
蜂の子
蜂の子の食べ方はバリエーションが豊富です。
地域や蜂の子の種類によって異なってきますが、代表的な食べ方は煮付けや炊き込みご飯があります。
また、缶詰やサプリメントに加工された蜂の子を摂取することもできます。
イナゴ
イナゴの食べ方でもっとも有名なもののうちの一つに佃煮があります。
佃煮は家庭で作られるだけでなく、商品として販売されていることもあるほどです。
また、蜂の子とは異なり、体内の糞を出させるためにすぐに料理せず、1日ほど生かしてから調理をする特徴があります。
蜂の子とイナゴは、どちらもタンパク質が豊富な食べられる虫として代表的なものです。
しかし、それぞれ益虫・害虫と考えられていることや、採り方の難しさには差があります。